笑う門には福来たる!!

程なくして、着付けが終わる



「総司、よく似合うよ!!
誠十郎君!!ありがとう!!」



ジッと沖田を見た後、誠十郎が道具を片づけ

「男所帯で、裁縫道具とかねぇんだろ?
これ、ここで使って下さい
んじゃ、帰ります」

「待ちなさい!!お代が済んでないよ?」

「いらねぇ」


呼び止めた近藤に、そう一言だけ言って

廊下に出た


「そういう訳にはいかん!!」

慌てて追いかける


「とても上等な生地を使ってくれて、帯や羽織まで、これじゃ君が損する!!」



「その着物、俺にとっても特別なんで…
お代はいりません
それに、沖田さん大事に着てくれそうだから、いいんです」


今度こそ帰ろうと、背を向けた


「あの日、なんで四条大橋にいた?」


突然の土方の言葉に、誠十郎はゆっくり振り返る

幹部らが、あの件を知っていると

確信した誠十郎が、言う



「殿内義雄… 殺そうかと思って…」


幹部らが、顔色を変えた


「まぁ、川に落としてやろうと思ったくらいです
よくよく考えたら、川に落ちたくらいじゃ、死なねぇし
沖田さんには、感謝してますよ」



「誠十郎、呉服屋を継がねぇなら
俺達の仲間にならねぇか?」


「人と連むの嫌いなんだ…」


今度こそ、背中を向け歩き始めた


ダダダダダッ


「誠十郎さん、ありがとうございます!
大事に着ます!!あの…お代貰って下さい!!」

「いらねぇ」

「じゃあ、何かお礼を!!」

「いいって」

「そんな!!ダメですよ!!これは、特別な着物なんですから!!」

「だから、いいって言ってんだろ
それより、何… この匂い…」

皆がスンスンと鼻をならす


「焦げくせぇ!!!」



炊事当番、助勤 井上源三郎

この男も試衛館の仲間


「うわっ 酷ぇ」


誠十郎が、焦げた鍋を覗く

「もったいねぇな」

そう言って、包丁を取る

焦げを丁寧に、包丁で切り落とし

別の鍋に入れる

「おい!お前もやれよ!!」

ボーッと包丁さばきを見ていた、井上に言った

「や、すまないね!! 痛っ」

「わぁ!!源さん大丈夫?」

藤堂が井上のケガをみる


「もしかして、お前ら料理出来ないの?」


ケガの手当てをしている間に、コゲは取られて

鍋で炊かれている


「これ、何人分なわけ?」

「十人分だ」

「あっそ、楽勝だな」


テキパキと煮物が生まれ変わり

吸い物とご飯が炊かれる


「お前も食ってけよ!!」

「帰る!!」


スタスタと屯所を後にしていった


「あーーー!!お代!!!どうしよう…」


うまい うまいと感激している中

沖田が叫んだのだった