山崎に明里を見はらせ、昼間後をつけさせた


そして、誠十郎が潜んでいる家を見つけた

山崎は、気配でばれる可能性があるので

家の中には入らなかったが

赤子の泣き声に、確信した



「副長、見つけました」

「悪いな、個人の事でお前を使って」

「いえ、誠十郎の事は、俺も気になっていましたから
せやけど……まさか、あんな近くにおるとは思いませんでした」


誠十郎が潜んでいた家は、小さな町医者の家

医者嫌いが、まさか医者の家にいるとは
考えもしなかった


「医者の手伝いをしながら、子を育てているようで、それとなく近所に話を聞くと
お菊と呼ばれ、いつもニコニコ
明るいと評判が良かったです」


「そうか」


「どないする?
もう少し、様子見ますか?」


「そうだな…
屯所が落ち着いてからだな…」


病の巣と、近藤の連れて来た松本医師が

激怒した


その対応に追われている



そして、その医師から


沖田が労咳だと診断された



それは、土方にとって

とても辛いことだった




なにせ、頼りにしていた

本当の弟と思い、いつも一緒にいた



「土方さんが治ったんだから、僕も治りますよ!
それより、いつ迎えに行くんです?
早くいきましょうよぉ~」



病の事を聞いても、落ち込まず

誠十郎に会いたいと、駄々っ子になる



「お前も来んのかよ!?」


「当たり前でしょ!?土方さんに任せてたら、またどこかに逃げられるのがオチです
僕が、行かないとねぇ~
あ~早く会いたいなぁ~」


「のんきな奴だ…
んなこと言ってる暇があれば、自分の隊の
部屋は、掃除が終わっているんだろうな?
点検に行こう!」


「え?点検は、明日の夕刻前でしょう?」


「組長が余裕見せているから、終わったんだろ?」


「確認して見ます!点検は、明日ですよ」



慌てて平隊士の部屋へ向かう



「明日まで、来ちゃ駄目ですよ!!」


途中振り返り、念を押す沖田


「ふっ どんだけ、怒られたくねぇんだ」




沖田の姿を見送り、仕事に取り掛かる


土方の机には、巾着袋が飾られている


時々それを見ては、心を落ち着かせる


早く会いたい


父親として、受け入れてくれるだろうか



そんな事を考えているうちに









桜が咲いていた