笑う門には福来たる!!

「ほな、ごゆるりと」


女将が土方のいる個室に、君菊を入れ込み

パタリと戸を閉めた


「へ?」


閉められた戸を見て、君菊がヘンな声を出した


「間抜けだな」

「は?」

「こっち来いよ」

「今日は、お一人どすか?」

「一人じゃ、不満か?」

「いえいえ!!珍しいなって…」



土方の近くに座ろうとすると

「よっと!!」

土方に足をすくわれ、膝に抱えられる


「ちょっと/////近い/////」

ぐるり

土方に背を向けた

それでも、土方に後ろから抱きしめられたまま

「/////どないしたんどすか?」

「惚れた女に触りたいだけだ
気にするな」

「///// 気にするえ!!
土方はん!!ちょっと!!落ち着こか!」

「お前が落ち着けよ!」  ちゅっ


頬に口づけされ、固まる


「よし!治ったか?」

〝あぁ、治療か〟と君菊の肩の力が抜ける


「ずっと、こうしたかった
俺の女になってくれ」

後ろから首に埋められた土方の顔

耳元で聞こえる土方の声に

心臓の高鳴りを抑えられない

初すぎる誠十郎にも、土方の言葉の意味くらいは、わかる

返答に困っていると


「女将から聞いた
どうせ、自分で言えないだろうからって
殿内の事」


殿内という名に、ビクッと肩を震わす


「優しくする」


「ええの?うちやのうて、他にも女はおるのに」

「それでも、嫁にしたいと思うのは、お前だけだ、誠十郎」


君菊でなく、本当の名で嫁にしたいと

言った土方の方に向く


「ホンマに、ええの?」

「あぁ、親父さんにも頭下げてやるさ」



殿内に犯された

人前で

その客の中に、芹沢がいた

誰も助けてくれなかった



太夫は、体を売らないということを

江戸から来たばかりで知らなかった

しかし、止めに入った下男を押さえつけ

無理矢理、初めてを奪ったのだ



「優しくしてや?」



土方の為に、身を捧げたい

恐怖を思い出しながらも、決意した


女として、幸せになろう 



土方に抱かれた後、緊張が解けたのか

気を失う


「優しくしたつもりなんだけどなぁ」


門限があるため、帰らなくてはいけない


外にいる下男に


「悪ぃ、紙と書くものくれねぇか」








君菊が目を覚ましたとき、土方の姿はなく

孤独感が湧き起こる

「お目覚めですか」

「へえ」

外からする下男の声に返答した

起きて、着物を羽織ると

枕元に文を見つける


下男が中に入ると、君菊はとても穏やかに
文を読んでいた


「明日から、お休みするそうですね」

「はい」


文をぎゅっと抱きしめる君菊に


「その文、一生懸命、書いてましたよ」

「はい!嬉しいです」


下男に向けられた初めての笑顔

君菊に想いを寄せていた、この男

助けてやれなかったことに罪悪感を持ち

君菊への想いを出さないでいた



幸せそうな君菊を見て、二人を応援しようと、素直に思えたのだった