笑う門には福来たる!!

翌日

昨夜の礼も兼ねて、土方と沖田が君菊を訪ねた

しかし、置屋の男から

「困るんですよ!毎日こられたら!
君菊に会いたければ、店を通して下さい!
女将に怒られる君菊が可哀想だ!!」


怒られていたことなど、知りもしなかった


「あの… 君菊の様子を教えてくれませんか?」

「お前らに関わるから、痣やらこしらえて、寝込んでるよ!!
いいか?これからは、店を通せ!!」

「わかった、店を通そう」












「堪忍」

二人に頭を下げる君菊

「お前が謝ることじゃねぇよ」

「そうですよ!!
でも、女将に怒られているなら、教えてくれたらよかったのに…」

「うちも、会いたかったんどす
せやけど、もおええ
十分楽しませて貰ったえ
土方さん、総司…
もう、こんといて…
うちは、女として生きる
ここで…   
(ニコリ)
おおきに
お二人に会えて、よかったわ」


初めて、君菊の笑顔が見れた


土方と沖田は、ため息を漏らす


「僕は、貴方をちゃんと笑わせます」

「あれ?笑えておへんか?」

「笑えてねぇよ!!」

「最後やし、笑ってさよならしたかったんえ!?」

「僕、さよならとかしないよ!?」

「俺も、そんな気ねぇよ」

「困らせんといて…今、離れんと…」

「逃げんなよ」

「逃がしません」

「うち… 怖いんや」

「なにが?」 

「二人とおると、女になるんやもん」

「は?女だろ?」

「男でいたいなら、それでもいいよ?」

「もおええ!!なんや、アホらし!
一生懸命、笑う練習したのに
ちっともほめられへんし、ってもう!!」

プイッと拗ねて、横を向く

「ねえ?何、怒ってるの?君菊~」

「すげぇふくれっ面だな?美人が台無しだぞ!?」


クイッ


二人がいつものように、君菊の頬に

口づけをする


「/////やめてや!!
うち…どうしたらええんよ~」


真っ赤になって、頬に手を当て俯く


「機嫌なおった?」


〝そうだ、これは治療だ〟

君菊が自分に言い聞かせ



「おおきに!治りましたえ!!」





二人が試衛館の思い出話をして、君菊は
静かにそれを聞いた


仲の良い二人を羨ましく思った



「おおきに」



門限があるため、帰って行く二人に

先ほどまで、もう来るなと言っておきながら

〝行かないで〟と言ってしまいそうな

複雑な気持ちを抑えながら


見送った





一人になると、とてつもない孤独感に

君菊は、ペタリと座り込む




怖い



そう思うと、鼻血が出始める

手拭いで鼻を押さえ、横になる


孤独感と恐怖と戦いながら






次の座敷は、下男に体調を心配され休んだ