止めるのも聞かず、そそくさと帰った

誠十郎の医者嫌いは、相当だなと

土方がまた、ため息を漏らす


「あれ?誠十郎は?」

山崎を連れて、沖田が戻る

「帰った」

「山崎、いつも鼻血が出るって言ってたんだが」

「鼻が元から弱いんか、心労ちゃいますかね?」

「心労か…」

「僕、追いかけて送ってきます!!
途中で倒れてたらいけませんから!!」


誠十郎に、沖田が追いつくのは
すぐのことで、まだ止まらない鼻を抑えながら歩いていた


「少し、休みましょう」

「触るな」


体を支えようとした沖田の手は、弾かれた


「すみません… ほっといて下さい」

「ほっとけませんよ!!ほら!!座って」


無理矢理に座らせ


「ここは、人通りが少ないから、僕に凭れなよ」


強引に誠十郎の体を引き寄せた


「芹沢さん心配だけど、誠十郎が気に病むことないよ
あの人は、ここに来る前も酒で暴れてね
道のど真ん中で焚き火して、大変だったんだ
誠十郎のせいじゃないよ!
だいたい何で、自分のせいだなんて思うの?
誠十郎は、良くしてくれてるよ!!
ありがとう」

「総司… 俺、役にたててるかな?」

「もちろん!!とても!!
だけど、こんなふうに体を悪くしちゃ
申し訳なくて…」

「ううん!ありがとう!!
元気出た!!総司!!ありがとう!!」

「こういう時は、笑うんだよ?」

「え?」

「ふふっ 早く誠十郎の笑顔が見たいな」

「…笑えるように、頑張るよ」

「頑張らなくても、僕が笑わせてあげる
今日は、帰ったら寝とくんだよ」

「はい」


笑いはしないが、いくらか表情が明るくなり、沖田が安堵した