「前野さん…。20xx年 4月 私立A女学園入学、20xx年 3月 中退…ね。なんで辞めたの?もったいないのに」

口を揃えて大人はこう言う。
高校に行かなかった人間にはまるで価値がないかのように、そして「高校は出てたほうがいいのに」と言う。

「はい、実は人間関係が上手くいかなくて嫌がらせが続くようになりストレスで体を壊し、それから学校に行けなくなりました。そして翌年3月中途退学することになりました」

「そうだったのかぁ~。辛いこと聞いたね」

苦笑いをする目の前の男。

私は今アルバイトの面接にきている。

「将来の夢はあるの?」

「美容師です」

それだけは自信をもって答えれる。
美容師になることは小学校からの夢だから。

「学校にはいくつもり?」

「はい!そのために貯蓄しようと今回面接に参りました!」

笑顔で答える。

好きなことの質問にならどれだけでも答えられる。

「そっかぁ、若いのにしっかりしてるね」

まただ。
少し敬語を遣うから、少しみんなより多く働くから、それだけの理由で大人たちはしっかりしてると言う。

「そんなことないですよ!」

私なんてまだまだです。

そんなことを言いつつ、内心、

そこら辺のグータラしてるフリーターと一緒にするな。クソが。

と思う。