こないだのキスから


何もなく


蒼くんとは接することもあまりなくなった。


クラスも違うし


部活だってメニューも違うから。



そんなある日



「あの、坂本さん」



そう呼び止められて振り返ると


見たこともない男子。



背が高く


蒼くんほどではないけど


整っている顔。


「なんですか?」


そう尋ねると、



「初めて見た時から好きでした。



彼氏いないんだったら



付き合ってくれませんか?」



そう言ってきた。



え?


うそ?



わたし、今まで告白なんてされたことない。
 

中学は実は女子しかいなくて


出会いなんかないし、


「あの、だめですか?」



そう聞いてきた彼は


同じ学年のはずなのに


敬語で話してる。



それがおかしくて


ちょっと笑って



「付き合うのはできません。


友達ならいいですよ?」



そう言って握手しようとしたところで



ぐいっと


引っ張られる。


目の前の彼の胸の中で


抱きしめられる私。


本能がやばいと言っている。


蒼くんに抱きしめられたときは



あったかくって


ドキドキして


嫌な感じしなかったのに



今は鳥肌が立って


どんどん熱が冷めていくのがわかる。



「ちょっと、やめてくださぃ。」



やっとのことで振り絞った声は


最後の方は消えかかってるほどか細い。



「ふふ、やっと捕まえたのに


離すわけ無いじゃん。」



そう言って不敵に笑った彼の顔がどんどん近づいてきて、



やばい!



そうおもったときに


ドンッ!!!



って殴られる音がして


目を開けば


彼は倒れていた。



殴った相手は蒼くん。



な、なんで?



そんな目で蒼くんを見つめていると



「おまえ、俺以外のやつに触らせてんじゃねぇよ。」



そう言ってギュッと抱きしめてきた。