幽霊の君と

「ありがとうございます、これ……。幽霊も風邪引くのかは、分からないけど……」


「……」


「実際、さっきまでも全然寒さなんて感じてなかったんですよ。雪が降ってるなーってくらいで」


沈黙を埋めようとしているのか、そいつはよく喋った。


すぐに暖房がつけられた部屋は、今はちょうどよく暖まっている。


「……ねぇ。どうして僕なんか、家に入れたりしたんですか。僕幽霊ですよ。悪霊とかだったらどうするんですか」


唐突に、そいつが俺に訊ねてきた。


「お前が、悪霊?」


「そうですよ。あなたって、誰でもほいほい家に入れちゃうんですか?……っあ、名前、教えてください。何て呼べば良いか分からないですから」


あちこち話を飛ばすやつだな。


苦笑しながら、俺は教えてやった。