幽霊の君と

その時の俺の心情を、誰か想像できるだろうか。



そいつの、すがるようで、それでも、どこか諦めにも似た、儚い眼差しに、悲鳴をあげることすらできなかったが。


そいつの言葉は、まるで、


自分が、


幽霊であると、言っているようで。


俺が何を考えているのか察したのか、そいつは、はっと口元をおさえると、慌てたように言い訳を始めた。


「えっと、ごめんなさい……!すぐに退きます」


ぱたぱたと走り出し、俺の横を通りすぎようとしたそいつの腕を、俺は何故だか咄嗟に掴んだ。


「……!?」


当然ながら、そいつは驚いた。


だが、驚いたのは俺も同じだ。