他の2人に立場的に危害を加えられない分、集中攻撃を受けたのは亜好歌だった。


特に酷かったのは、亜好歌の全身に切り傷があったときだ。

その時の亜好歌はなんでもないと隠していたが、好歌依とレノの必死の説得により全て話した。



「急に空き教室に呼び出されて…」

「昼休みのあれか…」

「うん。ちょうど今が冬服だから、隠せるし良かったんだけど…」

「そういう問題ちゃうやろ!」

「落ち着け好歌依」

「そ、れで…行ったら、みんながカッターで…切りつけてきて…意識が遠のいて倒れたときに、腹を1発蹴られた…あの2人言ったら殺すって言われて…なかなか、言えなくて…」


亜好歌の頬を涙が伝う。

「もう、部活が怖い…!学校も…!怯えて暮らすなんて嫌…!」

「…担任や顧問には?言ったのか?」

「言えるわけないよ…」




「…もう我慢ならん」

しびれを切らした好歌依が座っていた椅子から立ち上がり、部屋を出ていく。

「おい!どこに行く気なんだ⁉︎」

「決まってるやろ?」


振り向いた好歌依の顔は


「…あいつらにも同等の苦しみを味わわせたる。」


怒りに満ち溢れていた。