あの頃は楽しかった。 確かにお父さんは仕事で忙しくてなかなか会えなかったけど、 家族との時間を大切にする人だった。 叔母さんたち…月陽さんと月琉さんは私の知らないことをたくさん教えてくれていた。 だけど…やっぱり女の子は女の子。 一族には必要ない。 長男、家を継ぐ者が生まれればみんなそっちに行ってしまう。 どんなに私が良い点を取っても。 どんなに私が良いことをしても。 あの子が泣けば見ずに、聞かずに飛んで行ってしまう。