泣きそうな顔をしながらもう一度謝ろうとしたが声が出ない。
「ごめ、、、んな、、さぁ、、い」
「意外と可愛いじゃん」
思わぬ返答に顔を上げる。
「今日はわざとじゃねぇみたいだから許すけどよ。しかも夢蘭の子だし。」
「、、、」
「後輩だしな」
ニッと笑う。
その笑顔に少しドキッとした。
「俺、2年A組の金沢叶多。宜しく。」
またニッと笑う。
じゃ、といって彼は走り去っていった。
その時、フワッとハンカチが落ちていった。
落とし物、、、
「あっあのっ、、、」
緊張で声が出ない。
か、な、た、先輩
座りこんだまま愛実はしばらく走って行く彼を見つめていた。
この気持ち、なつかしい。
心がキュン、と温かくて、切ない。
ハンカチをギュッと握る。
今までこんな想いをしたのは初めてかもしれない。
愛実は時間を忘れ、しばらく呆然としていた。

