「遼介〜遅いぞ〜」
「すいません。」
「なんかあったのか?」
「いや、別に。」
「お前、今日はもう帰っていいぞ。」
「はい。じゃぁお先に。」

今日の雨はやまない。
俺は雨が嫌いだ。
雨は俺から
すべてのものを
奪っていく。

家に着き
俺はすぐに
ベットに寝転んだ。
いつのまにか
寝てしまい、
起きた時はもう
夜の10時を過ぎていた。

携帯を開くと
メールが一件。
美奈からだった。

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件名:無題
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美奈です。
あの写真の人
頑張って
探してみますね。
じゃぁ、また。
あと、私の番号です。
090-31XX-XXXX
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メールがきたのは
6時10分
俺はすぐに
美奈に電話をした。

「もしもし」
「俺!遼介だけど」
「あぁ、遼介くん。どうしたの?」
「どうしたって訳じゃないんだけど...今、ホテルとかに居んの?」
「いや...お金なくて、今はどっかの公園みたいところに...」
「まじかよ...」
「大丈夫ですよ、私なら。じゃぁ、また。」
「...あのさ!俺んち来れば!親いないし」
「でも...迷惑じゃぁ」
「いいって。別になんもしねぇし」
「じゃぁ...お願いします。」
「うん。今、どこの公園かわかる?」
「えっとー、近くにコンビニがあります。」
「あー、わかった。じゃぁすぐ行く。じゃね。」
「はいっ」

俺はなぜか
おもいっきり走った。
雨が降っているのに
傘もささないで。
早く行かないと
雨に美奈も
奪われる気がしたから。