私は篠田怜那
ある高校に通う二年生
あの夏、まさか会えると思っていなかったずっと片想いだった人に会えた
すごく嬉しかった
けど、もしかしたら両想い?なんて期待をして生活している私に、あんなことが起こるなんて…

◇◆◇◆◇

ピピピピピピ!!!!!
カチッ
「うーん…。ん?遅刻!?」
気づけば7時を回っていた
8時半には学校についてなくちゃいけない
急いで準備して、弁当を作って…
親は仕事の早い日がほとんどで、朝は会話がない
私立に通うことになってしまい、お金のかかる私のために一生懸命働いてくれている
「あーもう!なんで火点かないの!」
イライラとガスコンロと戦いながらなんとか弁当を作り終え、家を出た

キーンコーンカーンコーン…
「間に合ったー…」
疲れた…
自転車を全速力でこぎ、なんとか間に合った
「怜那おはよー!」
水嶋彩音
去年も一緒のクラスで、すぐに仲良くなった
頭が良くて、学年1位。バスケ部
「おはよ…。今日も寝坊しちゃった…」
「ほんと怜那ってアホだよね」
真顔で言われた
なんかショック…
「席に着けー」
先生の一言でみんなが一斉に席に着くと同時に思い出した
Twitterは…と…
この間Twitterで、小学生のときに片想いだった人を見つけた
高嶋日向
バスケが上手くて頭がいい。そのうえかっこいいし…。いつもはクール的なオーラがあったけど、ほんとはすごく優しくて面白い人
そんな日向が私は好きだった
けどこの間Twitterで見つけたとき、LINEのQRコードも載っていたため、私は勝手に追加した
少し会話してた時、Twitterを見てみたら、私との会話のことをつぶやいていた
『会いたいなあとか言っちゃダメ』
きっとこれは、逆に言って欲しかったのかな?なんて
もしかして両想い?なんて期待
けど、全然わからない
日向はどう思ってるのかな
私のこと、好きかな?
変に期待ばっかりしちゃって…
ブーブー…
スマホが鳴っている
誰からだろ?
開いてみたら、まさかの本人
『会えるよ』
この間会いたいって言ったら、ほんとにあってくれるなんて…
ドキドキが止まらなかった
『じゃあ7時頃にお願い』
日向に会えるんだ…
すごく嬉しい
「なんでニヤニヤしてんの」
前の席の友達、上村由香
バレー部で、寮で生活してるみたい
「なんでもない~」
「見せて見せて!」
あっ!勝手に見られた
「誰日向って」
説明をして納得してくれたみたい…。なにに納得したのかはわからないけど
「応援してあげる~」
半分からかいで言われた
結構本気なんだけどなー…

◇◆◇◆◇

テスト一週間前、うちのテニス部は勉強会をする
すっかり忘れてたなあ…
勉強嫌いな私はテストの点数も国語以外あまりよくない
世界史なんて壊滅的…
「じゃあ始めるよ~」
部長の言葉と同時に勉強会始め!

やっと終わった…
全然解けない問題が多い
今回のテスト、やばそう…
そんなことを考えてたら一件の着信
『校門の前にいるよ』
えっ…
早くない!?
心の準備とかなにもできてないよ!?
髪をとかして制服が乱れてないかとかを確認して外に出た
校門を見ても誰もいる感じはない
ほんとにいるのかなあ…?
そっちまで歩いてみる
「…あ!」
「おっ!」
いた!
って、緊張で声が出ない
「ほんとに、来てたの!?」
「まあね」
照れたように笑う日向がなんだかかわいらしかった
「どっか、行く?」
「そうだね、俺はどこでもいいよ」
「じゃああの店行こ?」
どっちも家が近いらしい
その近くのファミレスまで行くことになった
「あれ?」
「ん?」
「背、伸びた?」
「やっぱりー?俺今167センチ」
え、でかっ!
小学生の時は絶対自分の方が高かった
今じゃやっぱり男子の方が高いんだね
昔は華奢ってイメージがあったけれど、今は締まっていて細く、肩幅も狭くはない
「うちより高い…」
「えっへへー」
なんか、会えて良かったかも
ファミレスにあと少しで着きそうなところで、急の雨
どうしよ、傘ない…
「はい」
傘が頭の上に…
「えっ?」
「傘ないんでしょ?」
そう言ってさしてくれた
「あ、ありがと…」
普通に恥ずかしかった
好きな人と相合傘…
「着いたね」
気づけば目的地
顔合わせずらい…

「なに食べる?」
「うちはねー…」
どうしようかな
いつもだったらハンバーグとかパスタとか食べたいけど、好きな人目の前にお肉とか汁とかが跳ねちゃいそうなのは食べられない
「俺ネギトロ丼」
「ドリアかな」
「ドリンクバーどうする?」
二人でご飯を食べて、そろそろ帰る時間かな…
色々話せたし、なにより楽しかった
「何円かな?」
「俺が払うからいいよ」
「え、それは悪いよー」
なんてやり取りの結果、私の負け
結局払ってもらった
「ごちそうさまでした」
「いいえー」
雨はもう止んでいた

家まで送ってもらった
「今日は楽しかった。ありがと!」
「俺も。また会おうね」
見えなくなるまで手を振ったけど、日向は一回も振り向かずに行っちゃった…
追いかけたくなっちゃうけど、そんなことをしてる余裕は私にはない
勉強もしなくちゃね