ドクター


1時間後、落ち着いたころに実加の病室を斉藤先生が訪ねてきた。





「実加、どうした?
突然過呼吸になったみたいだな。」







ベッド沿いの椅子に座った斉藤先生は、仰向けになったままボーっと天井を見ていた実加に尋ねる。






「もし・・・・・・、検査の結果、私と先生に血縁関係がなかったら、私はどうなるんだろうって。






院長に里親を解消されちゃうのかな。」






天井を見つめていた実加が斉藤先生に目を向ける。
斉藤先生は驚いたのか、目を見開いたが、すぐに穏やかな顔になる。





「そんな訳ないだろう。
院長は、実加を、俺と兄妹かもしれないというだけで引き取った訳じゃないんだぞ。
安心しろ。」





と言うと、少し間を置き、





「俺は、実加と兄妹でないことを祈ってる。」






「えっ?」





実加は不安な顔で聞き返す。





「もし、兄妹であれば、俺の気持ちはどうしていいのかわからない。」






「どういう・・・・・・こと?」






「それは、結果が出てから話す。




もし!万一、兄妹であっても、そして兄妹でなかったとしても、どちらでも俺は実加のそばにいるから、安心しろ。」







分かったのか分かってないのか、実加はこれからどうなるのかやや不安感は残ったが、いつまでも斉藤先生のそばにいられることにホッとした。  





斉藤先生が病室を後にしてから、時間が経てば経つほど、斉藤先生の言葉が気になった。