ベッドに横になりやがら窓辺を見ている実加。
もう誰も部屋から外へ誘い出そうとしないようだ。
実加は意固地になっていたが、気づくと部屋にいる方が気が楽になっていた。
昨夜、斉藤先生から聞かされた言葉を頭の中で繰り返しているのか、看護師のりさが点滴を交換に来ても、目もやらず、何かを考えているようだ。
「・・・・・・さ・・・・・・いとう・・・・・・センセ。」
口から思わず出ていたのか、実加はハッとして部屋に誰もいないことを確認した。
「私、検査の結果で、血縁関係がなかったら、一体何のために里親に引き取られたのか分からない。」
そう一人でつぶやく。
斉藤先生と血縁関係がなかった場合を考えると不安になるのか、時折苦しそうに呼吸が荒くなる。
「フーフーフー。」
自らそれに気づいたのか、呼吸がそれ以上乱れないように自分を落ち着かせている。
「ケホッ、ケホッ」
喘息も本格的ではないが、出始めている。