実加は食べていないが、昼食後に部屋に行った。
リビングでは斉藤先生と院長が話していた。




「目を見たか?瞼はけいれんを起こして、眼球はまだ子供だっていうのに白濁しとる。」




「食欲もないんですよね。心配ですね。」




「明日には検査した方がいいな。」




二人は、実加の病状について話していた。
瞼のけいれんはストレスからくるもの。白濁は内蔵の異変が考えられる。
食欲不振も内蔵のいずれかの異変によりくるものである。
喘息以外に何かあるのではないか。
検査はすぐにでもしたいが、あの調子では到底スムーズにはいかないと思われる。
それに、クリニックだけでは検査するのに機械が足らない。
大学病院に連れていかなくてはいけない。
二人が思っていた異常に実加の症状は深刻であった。





院長が引き取ると言ったときは、とんだことをしてくれる人だと思ったが、医者として、正解だった。
ただ、あれだけ人を受け付けないとなると、これからが大変だ。
昼食にリビングへくることは来た。
自分の体の異変にはどこかしら気づいているだろう。
きっと心は俺たちを拒否していても、体が助けを求めているのだろう。
もしかしたらどこか痛みがあることも考えられる。それなら、早く見つけ出さないと。




斉藤先生はそれから実加について、あらゆる症例を想像した。
喘息の治療をして回復していく体ではないことは十分に想像できた。