ドクター


実加を追って走ってきた斎藤先生。
途中実加を見失い、ひたすら走り続けた。





走り続けていると、公園を見つけた。
実加が走り出してから15分以上が経っている。
そろそろ発作が起きてもおかしくないと思い、公園に入る。




早く見つけなければ、命が危ない。
喘息持ちなのに、なんで走ったんだ。





斎藤先生はタコの遊具に近づいた。
外からは人の気配が全くない。
けど、このあたりにいないとすれば、隠れるところはこういう公園しかいない。



遊具の入口に、何か物体が見える。
斎藤先生は慌てて駆け寄った。


すると遊具の中で、実加が泥水に顔を浸けた状態で倒れていた。
斎藤先生は慌てて実加を持ち上げて、体を泥水から出す。
顔も髪も泥だらけ。
口から水を吸っているようだ。
実加は全く意識がない。
体は水のせいで冷えきっていた。

すぐに実加をうつぶせにして背中を叩いて泥水をだした。
実加は咳込みながら口から泥水を出す。
体が震えているので、着ていた白衣でくるむ。
実加を抱きかかえ、温め続けた。



「実加!しっかりしろ!目を覚ませ!」





斎藤先生は何度も実加を呼びつづけた。




しばらくすると救急車がやってきた。
それから斎藤先生は実加に付き添い、近くにある愛知大学病院に実加を運んだ。