食事を終えた実加に、院長が言った。
「実加ちゃん、午後から検査をしたいんじゃが、どうだろうか。
受けてみないか。せっかくここに来たんだ。喘息を治して、元気な体になりたいだろう。」
実加は検査と聞いて、すぐに首を左右に振った。
院長は顔を曇らせる。
「早く検査して治療を始めないと、発作が毎日起きるぞ。」
さらっと斉藤先生が実加を脅す言葉を掛けた。
「ゃ・・・・・ゃります。」
実加が震える声で言う。院長と斉藤先生は顔を見合わせ、斉藤先生は声を出さずに笑っている。
院長が人差し指で静かにと表現して、実加の顔を見た。
「あぁ、わかったよ。そしたら一時間後にクリニックに行こうね。」
院長が言った。
実加は検査をやると言ったものの、すごく不安な顔をしている。
以前大学病院に運ばれた時にもやったのだろうが、きっと苦しい思いをしたに違いない。
それを思い出しているかのようだった。
検査の時に苦しい思いをしているということは、それほど病気は深刻だということ。



