「本当は今日のクリニックの休みに検査をしたかったが・・・。こんな状態じゃあ、到底無理だ。しばらく様子を見よう。」





「しかし、すぐにでも治療を開始しないと、どうなるかわかりません。」





「こんな状態で検査をしようとしても、まともな数値は出ないじゃろう。今のままでは心の傷をどんどん広げてしまう。今はもう少し実加ちゃんがわしらに心を開いてくれなくては、まともな治療はできん。」





「強制的にでも治療を進めていかないと、発作はすぐに起きます。それに他の病気もあるはず。一刻も早くそれを発見しないと、手遅れになるかもしれません。」





「斉藤先生の言うのもわかるが、今は様子を見よう。無理矢理は絶対にいかんぞ。
発作が起きたらすぐに対応できるように、斉藤先生には実加ちゃんのそばにいて欲しいのじゃ。」




そんなこと勝手にきめて。院長は何を考えているのかわからない。
けど、院長の言うとおり、実加を強制的に治療しても、根本的なものは解決できない。
今は心の治療が先なのかもしれない・・・。







「わかりました。少し様子を見ましょう。」





院長は部屋へ向かい、斉藤先生は実加の部屋に入って行った。