そして次に目が覚めた時、目の前には斉藤先生がいた。





実加は驚いたが、それ以上に体が重くて起き上がることができなかった。






それに気づいたのか、声をかけずに斉藤先生が実加の額に自分の額を当てる。
実加は斉藤先生の顔が近いことにドキドキしていた。
そして顔も赤くなったのか、熱い。  






でもそれは、すぐに恥ずかしさから来る熱ではなく、実加の体に高い熱があったからだった。
涙目で斉藤先生を見上げる。





斉藤先生は一度部屋に戻り、持ってきたのは聴診器。





黙って実加の服を上げて、聴診器を持った手を斉藤先生は伸ばしてきた。
実加は怠い体を必死に動かすが、その努力は惜しくも払いのけられてしまった。 






「ダーメ。
こんなに体が熱いんだから、じっとしてなさい。」





医者の顔で実加を叱る。
実加はそれ以上抵抗をせず、大人しくしていた。








「実加ぁ、いつから?」






「・・・・・・ん、今目が覚めたら、体が熱くなってた・・・・・・。」






「そうか。
ところで学校の方はどうだ?」





優しく問い掛けるところをみると、斉藤先生は実加が学校に行きたがらないことを気づいているのか、それともそれに気づいた院長が斉藤先生に言ったのか。







「・・・・・・。」






実加は目を伏せて、答えない。






少し間ができてから、実加は突然泣きはじめた。
泣きすぎたのか、発作が始まった。






「ゲホッ、ゲホゲホゲホゲホっ!!!」






「実加落ち着いて。泣くのは一旦、止めよう。」







「ゲホゲホゲホゲホ、ゲホゲホゲホゲホ、ゲホゲホゲホゲホっ!!!」






本格的になってきた。
斉藤先生がクリニックに運んですぐに治療を始めたが、実加の発作はなかなかおさまらなかった。



  

斉藤先生は治療をしながら、救急車を呼んだ。