年末を前に、実加は退院した。
退院の日、青木先生から、二週間に1回の検診を忘れないようにと言われた。
それから院長のクリニックで、斉藤先生の判断で、吸入をするように言われた。
退院を喜んでいた実加は、その言葉を聞き、顔を歪めた。








先生や看護師さんに挨拶をして、斉藤先生に連れられて、病院を出た。





今日は斉藤先生が仕事のため、病院には院長が迎えに来てくれた。
病院は臨時休業をとった。





病院のロータリーに目をやると、見覚えのある車が止まっていた。






「院長!!!」




実加は思わず走り出しそうになったが、隣にいた斉藤先生にしっかり腕を掴まれ、止まった。





「こーらっ!」





「ごめんなさい。」





と言い、早歩きで院長のいる車へ向かった。





「久しぶりじゃな、実加ちゃん。」





「はい!また今日からお世話になります。」





「そんなかしこまらんでも、実加ちゃんはわしの大切な娘じゃからな。」





院長の言葉に実加は満面の笑みだった。