日が替わり、午前2時頃になった。
院長は、実加が寝ているか気になって、部屋を覗きにきた。
静かにドアを開ける。
院長は実加が当然ベッドで寝ていると思っているから、そっとベッドを方に目をやる。
しかし、ベッドは昼間と変わらず、布団の膨らみがない。
おかしいと思い、ドアを大きく開いて、廊下の電気で真っ暗な部屋を照らした。
ハッと院長は息を飲んだ。
部屋の片隅に昼間と
同じように体操座りの実加がいた。
院長は優しく実加に声をかけた。
「実加ちゃん、どうした?眠れないかな。
電気をつけるよ。」
院長が部屋の電気をつける。
実加は息をしていないのかと思うほど浅い呼吸をしている。
院長が電気をつけても微動だにしない。
院長はそっと実加に近寄る。
うつむいた顔を下から覗き込むと、目は開いている。
「実加ちゃん、一緒に何か飲もう。リビングへ行かないかい?」
実加の顔がかすかに揺れた。
院長が立ち上がり、廊下に向かう。
すると、ゆっくり実加が立ち上がる。
院長は廊下に向かう途中、机の上にあるおにぎりに気づいた。
おにぎりが少し欠けている。
「実加ちゃん、少しは食べれたんだね。」
と言い、実加の方に目をやる。
実加はコクリと頭を下げる。
院長はその様子を見て、顔をほころばせた。
二人はリビングへ向かった。



