敬人さんの言う通りのお店で、奥の席に通されると外の喧騒が嘘のようだった。

「で、育太が何をしたの?」


単刀直入な質問。でも、とても心配そうな表情をしていた。この人に全てを話してしまおうか、そう思わせる表情だった。

でも、敬人さんにしたら自分の弟の悪口を言われることになるんじゃないかな。それは、つらい。

「いいよ、言ってごらん」

優しい笑顔に言ってしまう決意が出来た。

「実は…」

わたしは今日の出来事を全部、キスされそうになったことも話した。

言い終えると敬人さんの手が伸びてきてわたしの頭をくしゃりとなでた。

「言ってくれてありがとう。育太には後でよく言っておくよ」


「でも、君はどうしたいの?」