人形劇[七つの魔石と能力少女]

迷っている青年に、少女は声をかけた。

「ありがとうございました。では、私はこれで失礼します。人目に晒すこととなってしまい、申し訳ありませんでした。」

再び、足音をたてて去っていく少女。

その姿は、どこか悲しそうで、とても、とても儚げだった。

心中をモヤモヤさせたまま、青年はその場に立ち尽くす。

(でも、綺麗な子だったな・・・。思わず見るのも分かる。まるで、人形のような、清楚な感じで・・・。目だって、あんなに・・・、あれ?)

その時、青年は気がつく。

自分が一度も少女と目を合わせていないことを。

少女は、名も知らぬ青年に背を向け、進んで行く。

後に、少女と青年が出会うことは、無いのだろう。