「――そんなことない。とても上手だと思うよ、俺は。」

『っ……』


俺の正直な感想を言葉に乗せると、目の前にいる彼女は息を詰まらせつつも、ホッとしたような表情を見せた。

ああ、今…嬉しいんだなぁ。

いちいち俺のツボを押さえてくる彼女のおかげで、毎日怒涛の仕事漬けの生活で疲れ切った俺の身体も心と共に癒されていく。

彼女と毎日会えたなら、どんなに幸せだろうか――と思った瞬間、それはただの俺のワガママだな、と心の中で自分自身に苦笑した。


『……ありがとう、ございます。』


俺の知っている大人たちは、人からの褒め言葉をもらったって、すぐに謙遜の態度を見せて、中々受け取ろうとしないけど、彼女は違う。

前回だって、今だって、俺の言葉をそのまま、素直に受け取ってくれる彼女に、

どんなに恥ずかしかろうが、まっすぐに俺と向き合おうとしれくれる彼女に、

どうしようもなく、俺は――…