「この前、みのりさんが買ってた本の、だよね?」
『は、はい…。』
「俺が言ったこと、覚えててくれたんだ…?」
彼女の核心を突くように、俺が問うなり、彼女はさらに顔を赤くする。
“……君に似合いそう。”
あの時、あの紙面を見て、無意識に零れてしまった俺の本音。
白色で形作られた中で、目や頬にあしらわれた赤色や桃色が、なんだか俺の中にあった彼女のイメージと重なって見えたんだ。
「――見せて。」
『えっ?』
「この前言ったでしょ?“作ったら見せて”って」
しばし、彼女を見つめれば、みのりさんは降参とでも言いたげに、でも恥ずかしそうに、ストラップの付いたスマートフォンを渡してくれた。
そのいじらしい動作も、俺にとってはくすぐったいほど愛しい。
『……その、ビーズアクセは初めてなので、まだまだ下手なんですけど…』
彼女のスマートフォンを受け取ってすぐ、彼女が作ったというストラップをマジマジと見つめていると、前方から聞こえた小さな声。
それは、恥ずかしいからあまり見ないでほしいという彼女の心の声まで乗せていた。
相変わらず分かりやすい彼女に、また俺は心の中でひとつ、彼女への想いを募らせていく。

