『先輩の言う“予定”って、泊さんのことですか!?』
「へっ?……違う違う違う!」
城田ちゃんの口から出て来た言葉に、一瞬豆鉄砲を食らわせられた私だったけど、すぐに否定をしてみるも、城田ちゃんは私に疑いの目を送り続けた。
『だったら何でここに泊さんがいるんです?』
「それは――…って、何でなの?泊くん。」
城田ちゃんと同時に泊くんの方を見上げれば、肝心の泊くんからは、「あー…」となんとも歯切れの悪い返事が返ってきた。
その様子を見た私は、泊くんがここに来た理由は、たぶん昼に彼が言っていた恋愛相談で私を誘いに来たんだろうと、すぐに察してしまう。
……これは、チャンスなんじゃない?
「あっ、もしかして泊くん…これから暇だからって飲み仲間を捜しに来たんでしょう?」
『え?』
「それならちょうど良かった。城田ちゃんも飲みに行きたいんだって。この際だから、2人で行ってきたらどう?」
私の言葉に、泊くんと城田ちゃんは、数秒の間パチパチとお互いを見つめ合う。
私、中々のナイスアシストしてない?
「ねぇ、城田ちゃん。泊くんと行ってきなよ。」
『え、あ……私は別に構わないですけど、』
「泊くんは?」
『俺はもう、全然…大丈夫だけど、』
なんだかはっきりとしない2人の返事を聞いた私は、椅子から立ち上がると2人の背中を押す。
「それじゃあ、決まりね。」
『『わっ、ちょっと真山(先輩)っ!?』』
「いってらっしゃい」
私が強引に引き起こした急展開に若干ついていけていない2人を半ば無理矢理に総務から追い出す。
閉めた扉の先で、泊くんの「じゃあ…行きますか」という声を聞いた私は、ふうと一息つくのと同時に自分のデスクに向かった。
すぐに杉原さんに了承の意を込めたメールを送信し、杉原さんのメールアドレスを登録した私は、時間も時間だったために、すぐに指定された待ち合わせ場所に向かうのだった。

