王道恋愛はじめませんか?




「で?それで総務が大変なことになったってこと?」

『そうなんですよ!ちょうど昨日、この話が総務に回ってきて、皆大興奮で、誰があのShineの応対とお茶汲みを担当するのかで、ワチャワチャしちゃって…!』


あ~確かに、すごそうだなぁ~…。

仕事で有名人に会えるんだもん。

しかも、コンサートみたいに遠くからじゃなくて、間近で。こんなチャンスは、どんな人でも逃したくはないだろう。


「それ、決着はついたの?」

『ええ、最後はもうじゃんけんするしかないってなって!休日出勤なんて、いつもだったら嫌がる人たちも参戦してましたよ~!』


その時、朝礼10分前を告げるチャイムがフロアに響き渡る。


『あ、やべ。俺もう行かなきゃ。』


じゃあ、と言って、足早に去っていった泊くん。


『ホント、泊さんって先輩と仲がいいですよね~!』

「え?」

『だって、所属もフロアも違うのに、泊さんだけはよく顔見ますもん。』


いや、それは――…

本当のことを言いたかったけれど、グッと思いの内をこらえた。

まぁ、これは部外者の私が口出ししていいものじゃないし。

休憩スペースを出て、今度こそ総務部へ向かおうとする私の後を追ってきた城田ちゃん。


『先輩、来週の日曜――…私たちは社内の見回り担当なんで、よろしくお願いしますね!』

「――…はっ?」


思わぬ爆弾発言を投下した城田ちゃんは、悪戯な微笑みを残して、先に総務部に行ってしまった。