杉原さんと衝撃的な再会を果たし、まるで夢のような一時をすごした翌日。


ピピピッ…ピピピッ


毎朝聞きなれた目覚まし時計の電子音に、私は眠りに落ちていた意識を起こす。

ん……あれ…?

普段とは見慣れない光景に眉を寄せつつ、起き上がった瞬間――…


「いっ…たぁー…!」


体の節々が悲鳴をあげた。

未だ鳴りやまぬ目覚まし時計のスイッチをオフにした私は、眠気眼ながらに辺りを見回す。

いつも以上に荒れたリビングと、テーブルの上に散らばった数えきれない程の缶ビール。そして、私のすぐそばで、女性らしからぬ寝息を立てて眠っている友人を見つけた時、昨日の夜のことを思い出した。


昨夜、5年付き合っていた彼氏にフラれたと言って、未來は私の家に来た。

昼に彼女からかかってきた嗚咽交じりの電話でリクエストされた鍋焼きうどんを作っていると、彼女は私の予想通り、大量の缶ビールを両手に抱えてやって来て、やけ酒をしたのだ。

フラれたと言っても、食欲と飲酒欲まで削られたわけではなかったようで、私の作った鍋焼きうどんを完食した彼女を見て、少し安堵したのも事実。

でも、彼女にとって彼と付き合った5年という歳月はあまりにも長く、私の牽制もむなしく、彼女が潰れるまでアルコールを煽ったのも事実。


どうやら、完全に寝違えたままリビングの硬いフローリングの上で寝てしまっていた私は、いそいそとまだ寝ている彼女の身体を揺さぶる。