王道恋愛はじめませんか?




「す…っ、すみません…!」


瞬時に、私は杉原さんに頭を下げる。

私ったら、何やってるの…!

私のせいで、杉原さんが嫌な思いをしていないか心配になって、中々顔を上げられなかった。


『あっ、いや、そういう意味じゃなくて……』

「え…?」


どこか焦ったような、そんな杉原さんの声が聞こえて、私は恐る恐る顔を上げていく。

目の前には、私から目を反らしつつも、どこか、何か言いたげの、1ヶ月前にも見たような表情を浮かべた杉原さんがいた。


『その、君の質問がどうこうじゃなくて、俺の話ばっかりじゃなくて、君の話も聞きたいなって、ことだったんだけど、』

「……っ、」


杉原さんから告げられた思いがけない言葉たちに、私は驚き固まった。

まさか……杉原さんから私の話を聞きたいと言われるなんて、想像していなかっただけに…、心の奥が締め付けられたような気がした。