「本…お好きなんですね…?」
『そうだね…。俺にとっての唯一の趣味って言ったら、読書くらいだから。』
知らなかった杉原さんの一面をひとつ、見た気がした。
"Shine"の皆さんと一緒にいる時の杉原さんは、どちらかというとムードメーカー的な存在で、はしゃぎすぎず、大人しくなりすぎず、といったいい塩梅を醸し出している印象があった。
「どんな本を読まれるんですか?」
ついそれ以上の杉原さんの話が聞きたくて、質問を重ねた時、杉原さんは自身が手に掛けていたカップをカチャリ、とゆっくりと受け皿に置いた。
『インタビューはそれくらいにしない?』
「え?」
い、んたびゅー…?
一瞬、杉原さんに言われた言葉の意図を理解できなかったけれど、徐々に杉原さんの真意が分かってきて、思わずあまりの恥ずかしさに赤面してしまう。
思い返してみれば、私が杉原さんにした質問は、どこかの雑誌で杉原さんがすでに答えていそうなことばかりで。
これじゃあ、杉原さんが私からインタビューされているような気持ちになってしまうのも、仕方がないと理解した。

