杉原さんに誘われて、杉原さんのおススメのカフェにやってきた私たち。
ゆったりとしたオルゴール音が流れる店内で流れる時間はあまりにゆったりとしていて、いつの間にか緊張してしまっていた気持ちを柔らかくしてくれる。
『ここ、いいでしょ。人も少ないし、長居できるし…穴場なんだよね。』
そう言って、さっき頼んだホットコーヒーの入った白いカップに口を付ける杉原さん。
日本中で知らない人なんていない程有名な彼を目の前に、私は"そうなんですか…"という簡単な相槌しか紡げない。
「……でも、素敵なお店ですね。」
それでも、自分が感じたことを言葉にしようと、精一杯に言葉を選んだ。
素敵なお店だと、心からそう思った。
日々の仕事の忙しさやストレスから解放してくれるような空間が、確かにこのお店にはあるような気がしたのだ。
「いつも、ここに来られてるんですか?」
『ん?…まぁね。暇なときは、大抵ココか、家にいるよ。』
あと…本屋かな?と、茶目っ気のある笑顔を零した杉原さんに対して、私は一瞬息を飲んでしまった。
初めて杉原さんを見た時から思ってたけど……本当に、格好良いや。
どんな仕草も絵になるとはこういうことだと、実感した瞬間だった。

