――嘉人 Side――


みのりさんと食事を終えて、みのりさんの家まで送り届けることになった車内。

ハンドルを握る俺は、数分前のみのりさんと彼女の友人との電話を思い出しては頭を悩ませていた。


(合コン、か……)


目の前の信号が赤に変わり、ブレーキを踏みつつも、チラリと助手席に乗っている彼女へと視線を向ける。

あの電話の後、お互いどことなく気まずいのか、あまり会話は弾んでいない。

彼女の友人の声が大きかったために、彼女の電話内容はほぼすべて聞こえていた。


電話相手は、実に友人思いの良い人のようだった。

――だけど、みのりさんに想いを寄せている男としては、あまり彼女に合コンとやらを勧めて欲しくはなかったというのが正直な俺の本音だ。


みのりさんは、確か年齢が俺の3つ下なんだよな。

満月の夜、公園のベンチで彼女から誕生日を聞いたときに、一緒に生まれ年も聞いていたから印象に残っている。


『――くん、嘉人くん』

「っ、ん?」


物思いから我に返って、彼女に顔を向けると、『…青、だよ?』と控えめに言われてしまった。

ゆっくりとアクセルを踏みながら思う。


合コンに行かないで欲しい。