突然の朗報に茫然としている私のことなんて露知らず、『今日も休日出勤してんだよね』と未来は小さな愚痴をこぼす。

未来が行けないならちょうどいい。

私も元々行く気はなかったし、この際だから2人分キャンセルしてもらおう。


「…じゃあ、私も行かなくていいよね。」

『は?何言ってんの、みのり。』

「えっ?」


返ってきた親友からの冷たい言葉に、思わず固まる。


『ちょっと…この前も言ったけど、今回の合コンは優良物件なのよ!?この大チャンスをやすやすと逃がすわけ!?』


『製薬会社よ!?しかも大手の!』と、あまりにも未来が声を張り上げて訴えてくるものだから、この会話は最初から隣にいる嘉人くんには丸聞こえなんだろうな…。

できることなら、嘉人くんには知られたくなかったと思っていただけに、内心は複雑だった。


「そんなこと言われても、私は別に行きたかったわけじゃ――」

『バカ!あんたはいつもいつも、そんな呑気なことばっか言ってるから、5年以上も彼氏ができないのよっ!』

「ちょっ――!」


あああああ。

今の、絶対嘉人くんに聞こえたよね!?

あまりの恥ずかしさに、もう左隣なんて顔を向けられない。

いくらすぐそばに嘉人くんがいることを知りもしないとは言え、余計なことを口走ってくれた電話奥にいる親友を殴りたくなった。