王道恋愛はじめませんか?




「!嘉人、くん…?」

『……いや、なんか……こうしたくて。』


そう小さく言うと、嘉人くんはその大きな手で私の頭を撫でる。


「くすぐったいよ、」

『うん、でも…もうちょっと。』


それだけ言うと、しばらくは何も口に出さずに私の頭を撫で続けた。

私も、それ以上は何も言わずに、嘉人くんからされるがままになる。

なんか……落ち着くな、嘉人くんの手。


『――…まだあと少し残ってるし、食べて帰ろうか。』

「…うん。」


数分後、私の頭上から手を放した嘉人くんは、そう言って微笑んだ。

私も箸を持ち直し、ご飯を食べ始める。


「…美味しいね。」

『今度は、最初から2人で来ようか。』

「うん…!」


また、次も嘉人くんに会える、ただそれだけで、心が満たされていくのを感じながら、幸せなひと時を過ごした。