王道恋愛はじめませんか?




「えっと…い、いない、ですよ…?」


神田さんの方に顔を向けながらも、左隣にいる嘉人くんの存在を気にしてしまうのは何故だろう。


『本当に?』

「ほ、本当に。」

『んじゃあ、俺がみのりちゃんの彼氏、立候補しちゃおっかなぁ~!』

「っ!?」


いきなり伸びてきた神田さんの大きな手が、私の肩に回される。

その軽すぎるスキンシップに、また1時間前のように固まってしまう私。

え、えっと…――

にーっ、と私に満面の笑みを向けてくる神田さんの本心は全く見えない。

本気なのか、ただの冗談なのか。分かんないけど、後者であってほしいと心中はハラハラしていると、


『コラ、いい加減にしろ。』

「!」


左から伸びてきた手が、未だ私の肩に回されている神田さんの手を払うと、グッと私の身体を引き寄せた。

その手が嘉人くんのものだと気付いた途端、私の心臓はまた忙しなく動き始める。

両脇にいる2人に、この私の恥ずかしすぎる鼓動が聞こえていないか、とても心配だ。