『――ねぇねぇ、みのりちゃん。』
「はい…?」
食事会が始まって、もうすでに1時間が経った頃。
私の目の前の席にいたはずの神田さんは、気付けば私の右隣で昼間からお酒を嗜んでいる。
元々、人との距離の詰め方が上手なのか、ふにゃりと笑って見せる神田さんの笑顔は、酔いが回っているせいかいつもより幼く見える。
わぁー…男の人なのに、なんて可愛い笑顔…。
右隣にある目の保養に、癒しを感じてしまう。
『みのりちゃんは、彼氏いないの?』
「へっ?」
『彼氏だよ、かーれーし!』
いきなり飛び出してきた話題に、サラダに向いていた私の箸を持つ手が止まる。
すると、左上から嘉人くんの嗜めるような声が聞こえてくる。
『…飲みすぎだぞ、浩介。』
『いーじゃん、今日はオフなんだしっ!よっちゃんは一々うるさいんだよ、もうー。で、みのりちゃん、彼氏は?』
嘉人くんの牽制もサラッと流した神田さんは、尚も私の恋愛事情に興味を示してくる。
嘉人くんに目を向ければ、すごくバツの悪そうな顔をされた。
きっと、酔ってしまった神田さんは中々手が付けられないようだ。

