――みのり Side――


「え…ご、合コン…?」


それは雨上がりのムシムシとした8月の夜のことだった。

電話越しの未来からの、突然の合コンの誘いに、私は動揺していた。


『私、このままだと枯れちゃう!乙女の大切な5年を棒に振るった分、早く取り戻さなきゃいけないの!だから、今週の日曜、合コン行くわよ!』

「い、行くわよって…未来ひとりで行けばいいじゃない?」


数週間ぶりの電話でいきなり合コン一緒に行こうと言われても、快諾できない。

それに、私の心にはもう、彼がいる。


『何よ、みのりー!随分会わない間に冷たくなったわね?』

「そんなことないよ!ただ、未来が突然そんなこと言うから!ビックリしちゃうじゃん。」

『びっくりさせたのは悪いと思ってるよ。でも、みのりも彼氏ほしいでしょ?』


また唐突に私の痛い部分を確実に突いてくる未来に返す言葉が見つからない。

彼氏は欲しい。

でも、だからといって誰でもいいってわけじゃない。

それに、合コンに行ったって、あの人はいないし――…。


『みのりってば、彼氏いない歴もう何年よ?私が言うのも癪かもしれないけど、そろそろみのりも真剣に交際相手探した方が良いんじゃない?結婚願望があるなら猶更さ。』


不意に私の前に立ちはだかったアラサー特有の悩みに、軽い眩暈を覚えた。