――“着信：杉原 嘉人”
画面を見た瞬間、ビックリしすぎて危うくスマートフォンを落としそうになる。
えっ…ど、どうしたんだろう？
今はまだ昼の12時過ぎ。
いつもだったら、電話は夜だし、昼の連絡があったとしてもそれはメールだ。
嘉人くんなりに遠慮してくれてるんだって思って、その心遣いがすごく嬉しかったりする。
だからこそ、こんな真昼間からかかってきた電話に、私は至極戸惑いを隠せない。
と、取り合えず出なきゃ…！
ブルブルと震えっぱなしのスマホの画面に映し出されている通話アイコンを、強めにタップして、耳に当てた。
「……もしもし？」
緊張からか、いつもより上ずってしまった声。
メールなら心の準備ができるんだけど、電話ではそうはいかないから、いつも緊張しちゃうんだよね…。
『…も、もしもし？』
ガサリ、という物音が通話先で聞こえた瞬間、嘉人くんの声が鼓膜を叩いた。
彼の声を聞いてドキリとする辺り、私の恋愛偏差値はちっとも上がっていないことを思い知らされる。
