迷うことなく座席の下を覗き込んだ杉原さんの姿を見て、ハッとした。


「あ、あの…!」

『ん?』


初対面で何者かも分からない私の落とし物を一緒に探そうとしてくれていることは、素直にありがたいとは思う。

探し物を探す時は、一人より二人の方が絶対に効率が良いし。

でも、それを杉原さんにやってもらうというのは、やっぱりどこか気が引けてしまって。


そう思って、私に背を向けたままお守りを探してくれている杉原さんの背中に声を掛けた。


「ほ、本当に大丈夫です。あとは、自分一人で探しますから…!」

『んー…』


数秒の沈黙の後、すくっと立ちあがった杉原さんは、私の方に振り返り、そのまま軽い足取りで私の目の前までやってきた。

じぃっと、杉原さんに見つめられて、私は途端にどうすればいいのか分からなくなる。

こんな格好イイ人に見つめられて、ドキドキしない人なんて、この世にいるのだろうか?


『まぁ、一人で探したいって言うなら、俺は別に構わないけどさ――…、もうここには君の探してる物はないけどいいの?』

「……え?」


一瞬、目の前に立っている杉原さんの言っている意味がよく分からなかった。