『…ねぇ、会わせてよ。』
「ん?」
数秒、何かを考えるような表情を見せた浩介は、俺と目を合わせると声を弾ませてとんでもないことを言い出した。
『よっちゃんの想い人だよ!俺も会ってみたい!』
「はぁ!?」
固まった俺の視線の先には、何かを企んでいるようなイタズラな笑みを浮かべた浩介。
こんな顔をしてるコイツは、大抵余計なことしか考えていないのは十数年の付き合いで知ってる。
「ふ、ふざけんな…!お前なんか会わせられるわけがないだろーが…!」
『え~?何で?酷くない?』
そう言いつつ、ニコニコ顔で迫ってくるからタチが悪い。
「どーせ余計なことしか言わないだろ、お前は!」
『そんなことないよ。よっちゃんの魅力をこの俺がたっぷりとその子に教えてあげようと思ってるだけだし。』
「それが余計なんだよっ…!」
お前がそれを彼女に力説してる間、俺はどんな顔をしてればいいんだよ…!
ふにゃりと笑って、いつものおどけた調子に戻った浩介に心が軽くなった反面、この状況をなんとか収集しなければという焦燥感に見舞われる。

