『…まぁ、そうだよね。この業界でよっちゃんを骨抜きにさせられる人なんていないか。』
「……はぁ?」
コイツは…また、俺の理解できないことを言う。
本当に勘弁してくれ。
野郎同士の恋愛話ほど気持ち悪いものはないというのに、それを今強要されているこの状況は軽く拷問だった。
『違うってことは、その人とどこで出会ったのさ?』
「……。」
やっぱり、そこを聞くか。
職業柄、出会いが狭い俺達は、業界を超えた出会いなんてタカが知れてる。
そして、よりにもよって彼女との出会いは捉え方によっては誤解を生みかねない。
『よっちゃん』
ここで無言はナシだよ、と浩介の瞳が訴えていた。
はぁー、と重い溜め息をついた俺は、重々しい口を開くしかない。
「……コンサートだよ。」
『はぁ?』
「…だから、今年の俺達のコンサートで出会ったんだよ。」
俺の言葉を聞いた浩介は案の定、俺にとって良くない顔をした。

