「…なんだ、浩介か……」
後ろを振り向けば、そこには撮影を終えたらしき浩介が、俺の肩に手を置いて見つめていた。
『なんだってことはないだろ~?一抜けして淋しいだろうって思ったから走って帰ってきたのに~!』
俺の態度がそんなに気に入らなかったのか、浩介が拗ねた表情で俺を睨む。
最後の撮影はソロショットで、俺がトップバッターだったために、現場上がりの時間も早かった。
独りで淋しいって…俺は中学生かよ。
「……悪い、ただビックリしただけだから。」
『………。』
苦笑を溢しながら素直に謝って見せるも、浩介は依然と拗ねたままだ。
……というより、俺への疑いの眼差しの色を強くさせている。
「な、何だよ…?」
『本当に、ビックリしただけ?』
「はぁ?」
突然、意味の分からないことを口にした浩介に、俺は首を傾げるしかない。
いつもはおどけた表情で、楽しいことしか考えてません、みたいな振る舞いを見せるくせに、こうやって時々、人の核心を突くようなことを言い出すから、浩介の考えていることはメンバー1分からない。

