――嘉人 Side――
みのりさんと最後に会ったのは、あの満月の夜以来だ。
あれから2週間。
最近の俺はふとした瞬間に彼女を思い出し、今どうしているのかと思い焦がれてしまうほど、彼女への想いを膨らませていた。
今日はメンバーとの雑誌撮影と取材だ。
撮影は午前で取り終わり、午後から始まる取材までしばらく時間が空いている今、俺はスマホを片手にメール作成画面で固まっていた。
送信相手はもちろん、みのりさんだ。
今夜、彼女と会えるだろうか。
いつも彼女へメールを送る時や電話するとき、俺は柄にもなく緊張してしまう。
――本当、中学生のガキじゃねぇんだから。…って、これじゃあ小学生以下だな。
ここまでくると、自分で自分が笑えて来る。
こんなに彼女に惹かれて、会いたいといつも思ってるのに、中々行動に移せなくて。
前回会った時に、彼女の他人行儀な言葉遣いは直したけれど、もっと彼女と距離を縮めたい。
でも、彼女は俺のことをどう思ってるのだろう。
そんなことを考え出したらきりがなくて、グルグルと頭の中で無限ループの渦の中に取り込まれて数分。
『――なーにしてんの、よっちゃん』
「っ!」
後ろからかかった上機嫌な声に当然驚きを隠せなかった俺は身体をビクつかせた。

