『今から俺に敬語を使う度に、お仕置きだからね。』
周りのイルミネーションに負けないほどのキラキラ笑顔で嘉人くんに告げられたのは、もう数分前のこと。
正面入り口から場所を移し、柔らかい光が辺りを照らしている灯りのそばに設置されているベンチに、私と嘉人くんは並んで座っていた。
遠くに見えるイルミネーションが絶妙な背景となって、嘉人くんの端正な横顔をより引き立てていた。
『じゃあ、一つ目のお仕置き。…誕生日はいつ?』
お仕置きだと言われてすぐ、「できません」と敬語を使ってしまった私は、早速嘉人くんからお仕置きされていた。
と言っても、お仕置きという名の質問タイムだ。
しかも、NGなしの。
その上、私が嘉人くんに質問を返すのは禁止という、地味に鬼畜なお仕置きだった。
……私だって嘉人くんのこと知りたいのに。
「……5月18日、だよ」
たどたどしく、慣れないため口で返す。
名前の呼び方はともかく、敬語くらい…良い気もするんだけど。
実際、嘉人くんの方が私よりも3歳年上だし、敬語を使うのはマナーだと思う。
……けど、嘉人くん曰く、その敬語も他人行儀で嫌みたい。

