けど、知らなかった……。姫梨ちゃんの家って音楽一家なんだ。



「そんな音楽一家の家系に生まれてて一般人に負けたらプライド、ズタズタだろうね~」


ていうか、才能ないんじゃない? 楽しそうに笑いながら、彼女達は、通りすぎてしまった。




急に、静かになった。



「莉音、どうした? キリって女に同情したか?」



あたしは、その場に座って膝を抱いて、顔を埋めた。




なんか、もうよく分からない。





ただ、モヤモヤした気持ちが胸いっぱいに広がる。






一つ、分かったのは姫梨ちゃんも辛い立場にいるって事……。