講堂内に盛大な拍手の音が響き渡った。壇上の上では、校長が立って待っていた。




磯野さんは、オドオドした様子で辺りを見渡した。



たくさんの視線を浴びながら磯野さんは罰が悪そうに俯いた。



「キモ……」



割れんばかりの拍手の音に混じってそんな声が聞こえた。すごく小さな声。でも、はっきり聞こえた。



磯野さんにも、聞こえたのか立ち上がったまま俯いていた。



「磯野さん、壇上にお越しください」



先生が磯野さんに、やんわりとした口調で呼び掛ける。



磯野さんは、顔を少し上げて壇上へと向かった。講堂内に居る人間、全てが磯野さんを見ていた。それが、磯野さんのプレッシャーになったのかすごく緊張した様子で壇上の階段を登っていた。



ガクガクと震える足。二段階に差し掛かった所で磯野さんは、思いきりけつまづいた。