だって、教室に戻るのが怖くて堪らないから……。



あんな堂々に磯野さんの事庇う様なマネをした後、姫梨ちゃん達に合わせる顔なんてない。



今だって、静かすぎるみんなの態度が怖くて堪らないのに……。



「校長先生、お話しありがとうございました」


いつの間にか校長の話しが終わっていた。



パチパチと沸き起こる拍手の音であたしは、ハッと我に返る。そして、慌てて手を叩いた。



「では、次に皆さんに良いお知らせがあります。この夏、行われたカワハピアノコンクール、中学生の部で我が校の生徒が優勝を致しました」



司会進行の先生がマイクを使って読み上げる。


「三年C組、磯野若葉さん壇上へお越しください」



その声に壇上の近くに座っていた磯野さんは肩をビクッと揺らせて、恐る恐る立ち上がる。