君は少し悲しそうな顔だ。
「そっかあ‥ 。 ねえ、ハルちゃん?」
「なあに?」
「ボクね、ボク、ずっと、 」
ドクドクうるさい心臓の音。
「ずっと、ハルちゃんのことすきだった、よ! ずーとずーと、すきだったよ!転校しても、忘れないで…ね?」
泣きそうに、いや君は泣いていて。
なのに笑顔でそう言った
勘違いしてる?
「ハルも、ずっと好きだったよ、? 忘れないにきまってるよ! いつか絶対、。また会おうね!」
君は声を出さずに頷いて、家に入っていった。
その時、私は思い出した。
「ユウ、くん‥?」
向かいの家はユウくんの家だったこと。
いまさよならしたあの子の名前、ずっと知らないこと。
立ち止まっていると、風が吹いた。
春の夕陽が、まだ少し肌寒い3月の風をほんのり暖かくしていた。